新たな技術がどんどん開発され、導入されてきている農機具。でも使いやすい機種をお得に買うためには、まず中古農機具についてリサーチすることがおすすめです。
トラクターやコンバインなどの大型農機の最新モデルを新車で購入するには、高額の資金が必要になります。
また農機具は、種類によって一年のうちごく短い期間しか使わないものもあります。そういった器具は、高額で新品をそろえなくても構わないと考える方は少なくありません。
しかし中古農機具は、ネットオークションなどで「安いから」と安易に手を出すこともおすすめできません。
中古農機具をお得に買いたい、でもしっかりした商品を安心して手に入れたいという方に、優れた中古農機具や、有料中古農機具業者を見抜くポイントをご紹介します。
農機具は中古でも大丈夫なの?
農機具はトラクターやコンバインなど馬力が命という大型のものから、あぜの草を刈ったり収穫したお米をもみがらと玄米に仕分けたりする繊細な機械まで、多岐にわたります。
そんな農機具に対して、「中古で購入してもちゃんと動いてくれるの?」と不安に感じている方の疑問に答えます。
日本の農機具は丈夫で長持ち!
日本の大手メーカーで製作されている農機具は、世界的にも評判が良く、丈夫で長持ちします。
日本の大手農機具メーカーをピックアップしました。
◆クボタ
◆ヤンマー
◆イセキ
◆三菱マヒンドラ
これらの大手農機具は非常によく売れており、日本の農機具シェアをほぼカバーします。
よく売れているため、故障した際も部品が手に入りやすいというメリットがあります。
日本の高い技術力と品質へのこだわりに支えられた農機具なら、長く農作業に耐えてくれるものが多いのです。
ある程度働いた機具なら初期不良の不安が軽減される
中古農機具はみんな、それぞれのストーリーを持っています。
大規模農場で使用されていたけれど、新機種が出たので売りに出されるものもあります。
また後継者不足で仕方なく農業をやめざるをえない家から、売られてくるケースもあります。
家庭菜園で使用されていたというものも、最近は少なくありません。
中には親の代は農家だったけれど、自分はサラリーマンなので、農機具のことがまったくわからず納屋の中身を丸ごと売りに出す人もいます。
これらの農機具たちは、すでに田畑で活躍してきた過去があります。
つまり、ある程度働いてきた過去がある農機具は、初期不良で最初からトラブルが続く、といったことが少ないと考えられます。
大きな買い物になる農機具だからこそ、そうしたトラブルの不安が軽減されることは、メリットと言えるでしょう。
中古の度合いやコンディションをしっかりチェック!
中古の農機具を選ぶ場合は、年式の古さやこれまでの稼働状態、コンディションをチェックすることが重要です。
自動車と同様、同じメーカーで同じ年式のものでも、コンディションなどによって値段が変化します。
あまりにも安い場合は、なんらかの問題がある場合も頭に入れておきたいですね。
中古農機具を買いたいときにして欲しいこと
中古農機具を買いたい!と思ったときに、まずして欲しいことがあります。
それは、中古農機具についての知識をある程度調べて知っておくことです。
まずは中古農機具を買うことができるお店のさまざまなスタイルについてご紹介します。
メーカー販売店
農機製造メーカーが、直接製造している農機を販売している店舗です。クボタなど企業のサイトから全国の店舗を検索することができます。
ひとつのメーカーの農機具をずらりと見ることができるうえ、最新モデルもチェック可能です。
メーカーの農機に精通している社員が常勤しており、純正パーツなどの取り寄せもスムーズで、アフターサービス・メンテナンスなど安心感があります。
ただしさまざまなメーカーを見比べて機能や価格の比較がしたい場合は、いくつもの販売店を回る必要が出てきます。
ディーラー
農機具製造メーカーと、特約店契約を結んでいる販売業者です。
自動車販売会社で例えるならば、「トヨタ」の自動車を専売する「トヨペット」や「日産」の自動車を専売する「日産プリンス」などに当たります。
また、独自で特約店契約を結んでいる自動車工場なども相当します。
こちらも専門性が高く、特約店契約を結んでいる企業の農機具に対して大変深い知識を持っているため、メーカー直売の販売店と同じように利用できます。
中古農機具専門販売店
中古農機具を専門に扱っている販売店です。
中古農機具の買い取りも同時に行っているところが多く、広範囲から買い取っているところや、地域に根差した買い取りが中心のお店などいろいろあります。
実際に商品を目で見ることもできますし、お店の人に話を聞くことも可能です。
またお店に農機具を整備できる施設やプロの整備士がいるかどうかもチェックできるので、必ず見ておきたいものです。
実店舗なので実際に目で見て判断できるという点は大きなメリットです。
場所によっては、お得意様優先で初めて訪れる顧客への対応が冷たかったり、逆にしつこく売りつけてきたりするような業者も、残念ながら存在します。
近所で農業を行っている知り合いや、地元の農家の方にお店の評判を聞いたり、Googleの口コミなどをチェックしたりして、事前に情報を集めてから出かけると安心です。
ネットの中古農機具専門販売店
ネットの中古農機具専門販売店は、ネット上で中古農機具を売買している業者です。
実店舗を構えている業者が、ネット販売も行っているというケースも多く、取り扱い地域が広い分、扱っている農機具も多岐にわたります。
ネットの中古農機具専門業者も、当然ながら良しあしが分かれます。
しっかりとした対応と購入した後のアフターフォローを行い、きちんとメンテナンスした商品しか扱わない優良業者もあります。
その一方で、廃棄処分品の中からまだ使えそうな機械を拾い上げ、整備もせずに格安で売りつけてくるような業者がいないとは言い切れません。
実店舗を構える業者と同じように、良い業者かどうかを見極めることがポイントになります。
ネットオークションやフリーマーケット
ネットオークションやフリーマーケットでも、トラクターなどの大物農機具をはじめ、さまざまな農機具が取り引きされています。
ネットオークションやフリーマーケットは、出品者と購入者が直接取り引きします。
商品の画像もアップできますし、出品者にいろいろな質問もできるようになっています。
しかし互いがどれくらい農機具に対して知識を持っているかわかりませんし、画像が少なければコンディションもしっかり把握できません。
高価な買い物をした後にトラブルが起きても、基本的には出品者と購入者が直接話し合いをして解決しなければならないため、注意が必要と言えます。
中古業者をチェックするポイント
さまざまなスタイルで中古農機具が販売されていますが、誠意をもって中古農機具を取り扱っている業者を見つけて購入することが重要です。
よりよい中古業者を探すためのポイントについてご紹介します。
よりよい中古農機具業者の特長
よりよい中古農機具業者を探すには、その特長を知る必要があります。
中古農機具についての知識が深いことは、中古農機具を扱う業者として基本中の基本です。
中古農機具は、買い取りなどで仕入れてからそのまま売りに出されるわけではありません。
優良業者であれば、ある程度キレイにしてからメンテナンス・整備を行い、農機具の種類によってあとどれくらい動くのかなどをチェックします。
故障個所があれば修理し、修理が不可能な故障があっても稼働に問題が無い場合は、販売するときに明記します。
こうした作業は、中古農機具に対する知識が深くなければできません。
お店であればメンテナンスを行う整備用の施設が併設されているかどうかなどをチェックしてみましょう。
ネットのお店でも、商品の紹介ページに農機具の詳細情報がきちんと記載されていたり、メンテナンスについて明記されていたりといった点でチェックできます。
お店に、中古農機具の整備ができる農業機械整備技能士1級保持者(国家資格)がいることが明記されていることも重要なポイントになります。
また、サイト内に中古農機具を選ぶための豆知識などが記載されていると、安心度がアップします。
中古農機具は、ほぼ使用歴のない新古品でない限り、どこかに傷やスレなどができることが多いものです。
そういった傷やスレなどが、農機具としての品質に影響がないかどうかをしっかり見抜き、きちんと説明してくれる業者は信頼できますね。
またトラクターなどは、馬力と稼働時間で今後どれくらい働いてくれるかがわかります。
年式があまりにも古いものだと、万一故障してしまった場合に交換部品がなく、修理の方が高くなるということもあります。
中古農機具を販売したら売りっぱなしという業者ではなく、責任をもってアフターケアも請け負ってくれる業者を選びたいですね。
修理価格表や整備価格表などを、店頭の分かりやすい場所にきちんと掲載している会社は、一番信頼できます。
商品の良い点をプレゼンすることは、販売店として当然のことです。
しかし中古商品の場合は、新品と比べて必ずどこかにデメリットが生じているはずです。
商品の良い点だけでなく、新品と比較した場合どこに変化が出ているのかもきちんと説明してくれる、もしくは画像をアップしている業者は信頼して相談できますね。
中古農機具を選ぶときのポイント
信頼できそうな業者を見つけたら、いよいよ中古農機具を探してみましょう。
逆に気に入った中古農機具を見つけたら、しっかりした品かどうかを見極めることで、業者の良しあしのバロメーターにもなります。
より良い中古農機具を選ぶためのポイントを詳しく見ていきましょう。
自分が必要としているのがどのような農機具なのか知っておく
まずは、必要としているのがどのような機能を持つ農機具なのか、最新モデルにはどのような技術が搭載されているのかなどを、自分なりに調べてみましょう。
また、家庭菜園などで初めて購入する場合は、どういった機能がついていれば十分なのかも調べておきましょう。
一台買えばアタッチメントを付け替えることでさまざまな働きをしてくれる農機具もあり、知識が豊富になるほどお得な買い物につながります。
中古農機具の稼働時間を知っておく
農機具の稼働時間は種類によって異なります。たとえばトラクターなら目安として1200時間~5000時間ほどと言われています。
こんなにも差が出てくるのは、使う状況やメンテナンスの有無によって違ってくるからです。
その点を顧客側でも把握しておくと、商品を探すときのポイントになります。
トラクターなどの農機具には、アワーメーターがついている機種もあり、今後どれくらい働けるかがわかることもあります。
これまでに何時間ほど稼働しているのかをチェックし、サイトの場合は記載があるかどうかを必ず確認しましょう。
前のオーナーの使用状況がわかる場合は重要な情報!
前のオーナーにきちんとメンテナンスされながら、大切に使われてきたワンオーナー機などは、中古でもしっかり動いて活躍してくれます。
また商品によっては展示品として使用されていたものや、試乗品だったものなどほぼ使用されていない新古品という場合もあります。
運よくそういった商品にめぐりあえれば、一般の中古農機具よりは高価でも、新品よりはかなりお得に購入することができます。
前のオーナーがどのように使用してきたものか、メンテナンスなどをするオーナーだったのかがわかる場合は、とても貴重な情報です。
買い取り後に業者がメンテナンスや整備をしているかどうかチェックする
中古農機具業者は、たいてい国内の農家から農機具を買い取り、洗浄やメンテナンス、整備を行った後で販売にまわします。
しかし近年は、中古市場の拡大により、全く知識がない素人が中古農機具業者を名乗って、営業している例が増えてきています。
例えば、鉄くず回収業者や廃品回収業者、中古自動車屋、リサイクルショップなどが挙げられます。
ほとんどの場合、業者が農機具のことに精通していないので、安さだけで安易に手を出すことは危険です。
信頼できる業者であれば、買い取った後にメンテナンスや整備をしたことを説明、もしくは明記してくれます。
買い取った農機具の状態を見もせずに、売りさばくような業者では、購入した後の農機具がきちんと動くかどうか不安ですよね。
そこで、業者が農機具に精通しているかどうか、ちゃんとした農業機械整備技能士を置いているかどうかは、とても重要なポイントになるのです。
購入後のアフターサービスについて説明がある
農機具業者で購入の商談に入ったときに、購入後のアフターサービスについてきちんと説明があれば、購入後も安心です。
アフターサービスの価格表などを店頭にわかりやすく、きちんと掲載している会社は、一番信頼できます。
出所がはっきりせず、アフターサービスもない農機具だと不安ですが、購入後も責任をもってもらえる商品なら安心して使えますね。
車台番号がしっかりついていて、二度打ちなどの跡がない
トラクターなどの場合、車台番号がないものは売り買いできない可能性があります。
車台番号が故意に消されているものや、二度打ちした跡があるものなどは、盗難車である恐れがあるからです。
信頼できる業者ではまずありませんが、一応必ず確認してから購入しましょう。
特にフリマアプリなどの場合や情報が少なすぎるショップ、異常に安いショップなどでは、車台番号を絶対に確認する必要があります。
中古農機具の選び方を学んで優良業者で賢く買おう
優良業者の見抜き方や、中古農機具の選び方をご紹介しました。中古でも、大物になれば高額の買い物になってしまうのが農機具です。
何の知識もなく中古農機具を買いに行くのではなく、あらかじめいろいろなサイトをチェックし、比較検討してより良い業者でお得に中古農機具を手に入れましょう。